Beau Geste Press = BGP

ラウム・スペース京都では、1970年から1976年までイギリスのデボン州カロンプトンを拠点に短命でありながらも同時代で最も影響のある特異な独立系出版社 Beau Geste Press の小特集を行います。

Beau Geste Press = BGP は、1970年にメキシコ人アーティスト夫婦の Felipe Ehrenberg と Martha Hellion がイギリスの田舎デボン州カロンプトンのラングフォード・コート・サウスに移り住み、そこでアーティストで美術史家の David Mayor、グラフィック・デザイナーの Chris Welch とそのパートナーである Madeleine Gallard を含む友人たち(印刷職人のコミュニティ)との出会いからはじまりました。

BGP は主にネオダダ、コンセプチュアル・アート、視覚詩人、実験音楽家、そしてフルクサス運動に参加する同時代の国際的なアーティストたちと協力し、コテージ・インダストリーの精神に基づいた独自の生産方法(デザイン、印刷、製本、流通に至るすべての工程を牧歌的なひとつ屋根の下で管理)による限定版のアーティスト・ブックの出版を特徴とします。とりわけ特殊な印刷機(謄写版、石版、活版印刷)を駆使した印刷物に見られるアイデアの豊かさは今見ても斬新で影響的です。

1972年から出版される定期刊行物『Schmuck』では、毎号特定の地域のアーティストを特集し、アイスランド、ハンガリー、チェコスロバキア、フランス、ドイツ、そして日本を特集した各号は現地のアーティストによって編集されました。全8号(もはや入手が不可能に近い1号の特集はV.A.ではと想像します)。日本からは斉藤貴子、塩見美枝子、Ay-O、松澤宥、リー・ウーファン、小杉武久、小池龍(タージマハル旅行団)、吉村弘、高橋昭八郎、田尻慎吉、松田行正 etc. が参加。最終号となった Japanese Schmuck では次号 Latin American Schmucks の告知がありますが…1976年に突然解散したため幻の特集号となってしまいました。

1973年~1974年に出版された Schmuck には以下の明確な宣言が掲出されています。

Beau Geste Press はビジネスではありません。それは生き方です。私たちが存在するのは、あなたが存在するからです。私たちの活動は、英国と南米、さらには東ヨーロッパ諸国との接触を促すリンクアップとして機能します。

そして、BGP の編集マニフェストである「誰からも後援(束縛)されない満足のいく活動の範囲内で」から彼らの強い(まさに宝石のような)精神や態度が垣間見れます。

今回の小特集では Schmuck を中心に(少量ではありますが)私たちがこれまで入手した BGP の出版物をショーケース内に展示します。そして、2020年に CAPCボルドー現代美術館で開催された Beau Geste Press 展にあわせて制作された、BGP が出版したすべての印刷物≒75冊を収録したカタログ・レゾネをほんの僅かではありますが販売いたします。展示リストは以下を参照ください。
[https://raume.space/context_cat/beau-geste-press/]


展示期間:11月17日~12月末頃まで
京都市中京区壬生馬場町37-3 Kumagusuku 2F
平日11:00 – 17:00 / 土日11:00-18:00